【クリエイター対談 (前編)】 管理職へシフトしたきっかけ。「エキスパートかマネージャーか」

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クリエイティブ職の人が経験を積んでいく中で、「エキスパート」でいくのか、「マネジメント職」に挑戦するのかという選択は、多くの人が通る道なのではないでしょうか。

絵を描くのが好き、現場の仕事に関わっていたい、マネジメント職に就いてもクリエイティブな仕事ができるのか、など「マネジメント職」に対する心配や不安は当然のもの。KLabで働くクリエイターには、スタッフ職からマネジメント職へキャリアアップした社員が多くいます。

現在、マネージャーとして活躍している社員に、「マネジメント職」を選ぶまでの道、きっかけや現在の仕事についてインタビュー!
前編では「管理職へシフトしたきかっけ」について、後編では「実際にどのようにマネジメントをおこなっているのか、マネジメント職になって見えたもの」について、2本立てでご紹介します。

井口(写真右):3DCGグループマネージャー

KLabの在籍年数は9年。入社以来、IP作品を初め多数の作品に携わる。日本最大級の学生向けデザイナーコンテスト「KLab Creative Fes」のほか、外部のコンテストで評価員なども務める。

竹政(写真左):2Dイラストグループマネージャー

KLabの在籍年数は9年。入社以来、IP作品を初め多数の作品に携わる。現在は社内のイラストレーターのマネージメントを担当。KLab入社前には、フリーランスのイラストレーターとしても活動していた実績がある。

KLab_【クリエイター対談 】前編 管理職へシフトしたきっかけ。「エキスパートかマネージャーか」_1.jpgマネジメント職へのきっかけ。自分がディレクションに回ることによって、物事がうまくいく成功体験。

―KLabへの入社のきっかけ、KLabでの仕事について教えてください。

井口:
前職では3DCGに限らず、ドットからアニメーション、UI制作など、幅広く経験してきました。当時は「3DCGアーティストってなんでもできるだろう」というイメージを持たれる事が多くて、入社後もなんでも屋的に3DCG以外のグラフィック制作に関する業務にも多数関わってきています。


竹政:
僕はまったくの異業種からの転職で、運良く内定をいただけたいくつかの企業の中から、最も面接の雰囲気が良かったKLabに決めました。入社当時は、厚塗りのいわゆる美麗系イラストが隆盛の頃で、そのようなイラストをひたすら描いていましたね。当時は未だ、体制も整っていなかったのですが、メンバーが増えるにつれて、自然とチームのまとめ役になっていきました。


―ご自身の中で「マネジメント職」を意識し始めたのはいつ頃からでしょうか。

井口:
今振り返ってみると、自分を含めたチームメンバーのタスクやスケジュールを調整するようになったことが、マネージャーに向けての第一歩だったのだと思います。次第に、チームメンバーのキャリアや、制作体制まで考える機会も増え、そういう意識が出てきたかなと思います。


竹政:
当時は、良くも悪くも今のようにはチームでの制作体制が確立されていませんでしたから、そういった仕事を「やりたかった」というより、「誰かがやらないといけなかった」という状況でした。


―当時はチームというよりは、個人主義のクリエイター集団のようだった、と(笑)。

竹政:
そうかもしれませんね(笑)。KLabが急成長しているタイミングで、会社全体がそんな雰囲気だったのかもしれません。


井口:
僕が入社した頃は、KLabが3Dのゲームをこれから作って行こうと言うタイミングでした。会社の中でもまだ作り方を模索しているような状況だったので、最初のタイトルは本当に大変だった記憶があります。様々な失敗をノウハウにしていく中で、大型のIP作品を扱えるチャンスが訪れ、プロジェクトでは3DCGチームのリーダーを担当させてもらう機会をいただきました。その頃から人をまとめたりするような事を始めていたと思います。

3DCG部門という枠組みで考えると、組織としてしっかりとは出来上がってなくて、個々人の力で何とか成り立っているような状況でしたね。その後もいくつかのタイトルで同様の役割を担当していたのですが、そんな折に組織横断的な立場でのマネージャーを任せていただく機会にも恵まれたのです。ただ、自らが新規タイトルの立ち上げに現場の人間として深く入っていたことで、組織横断でメンバーの育成やサポートをする事に充分な時間を割くことが出来ていない、という悩みも抱える事になりました。

色々と考えた結果、現場の責任者は若い方にしっかりとお渡しし、意識的に3D職全体のマネジメント業務に多くの時間を使おうと考えるようになっていきました。自分が現場に居続けることで優秀な方の成長のチャンスを奪っているんじゃないかとも考えていましたし、結果的にも良かったのではないかなと思っています。

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―井口さんは以前からマネジメント職への興味は持っていたのですか。

井口:
はい。僕は興味をもっていました。随分前から自分の作るものよりも、他の人が作ったほうがすごいうまいと感じる瞬間が良くあったんですよ(笑)。同時に、自分がディレクションに回ることによって、物事がうまくいく成功体験があり、それがマネジメントに自分を振っていこうと思ったきっかけだったと思います。


―一般的にはどのようなタイミングでプレイヤーから「マネジメント職」への転向を考えるものなのでしょうか?

竹政:
チームリーダーを任されるようになる頃ですかね。KLabでは、リーダーが品質の管理とチームの管理を兼任することが多いので、プレイヤーを経てそのポジションを経験する頃が、一度考えるタイミングにはなると思います。
別のステップで専門性を磨いていくルートもありますが、マネージャーを志望する方の多くはチームリーダーを経験していることが多いですね。


―マネージャーになると、やはり面倒事は増えるのでしょうか(笑)?

竹政:
面倒事ではありませんが(笑)、マネージャーには俯瞰的な視点が求められます。自らが目の前の業務で手を動かすよりも、一歩引いた視点でチーム全体のバランスを見なければなりませんが、最初はその「自分の手を動かさない」ことをストレスに感じる人もいると思います。
あと、自分だけでは完結しないタスクが増えるので、会議が増えます(笑)。


井口:
増えますね(笑)。


―体感だと、どのくらい増えたのでしょうか。

竹政:
例えばミーティングでいうと、プレーヤーだった頃は週に1回とか2回でしたので、それが毎日何本も入ってきたりします。


―毎日何本も!それでは、時間が足りなくなると感じるでしょうね。

井口:
そういう中で自分が手を動かしてしまうと結局、自分自身がボトルネックになってしまうんですよね。加えて自分が担当して来たことを適した誰かに譲っていかないと、メンバーも成長していけません。

KLab_【クリエイター対談 】前編 管理職へシフトしたきっかけ。「エキスパートかマネージャーか」_3.jpgマネジメント職になってもクリエイティブな仕事はできるのか?

―クリエイターの方は、いつまでも現場で制作し続けたいという人も多い印象ですが、実際はどうなのでしょうか。

井口:
そうですね、ほとんどのクリエイターは、現場で制作したいと思うのではないでしょうか。身近な人もほとんど「自分は現役でいたい」っていう人が多いと思いますね。日々新しい技術が生まれてくる中で、そういった情報をしっかりキャッチして、必要であれば自分でそのツールを触ってみて...みたいなことがマネジメントの道に行くと、やれなくなるのではと思う人が多いと思います。

「マネジメント」と「エキスパート」、どちらかに軸を置こうとすれば、突き詰めていくと一方は減らさざるを得なくなります。僕は「マネジメント」の力を伸ばしたいなと考えて今があるのですが「どういうスタンスで関わりたいか」は業務の中で自分を見定めて、しっかりと決めていく必要があると思っています。


竹政:
イラストも流行り廃りの移り変わりが常にありますので、それをプレイヤーとして追っていたいという人は多いでしょうね。みんな、クリエイターですからね。マネジメント的な業務を経験したいという方もいますが、自分の作業時間も確保したい。プレイングマネージャーならいいけど、完全にマネジメントにシフトするのは避けたいという人が多いのではないかなと思います。


―実際、お二人はマネジメントという立場ですけども、クリエイティブな仕事はできなくなりましたか。

井口:
プロジェクトに担当者として直接は関わらなくなりましたが、マネジメントという立場では「他のメンバーの力を借りて、ひとりの力では成しえない量や品質でゲームタイトルを作り上げる」という違う形で関わるので、そういう意味ではものづくりをしている感覚があります。


―プロジェクトの全体像をみて制作する、といった感覚でしょうか。

井口:
ディレクションに近いですね。かつては、最終的に自分でちょっと調整するようなこともありましたが、今は全てメンバーにお任せしています。プロジェクトやチームが大きくなると、その分いろんなクリエイターも増え、色んなクリエイティブに触れることができて楽しいです。


―さまざまなクリエイターさんの掛け合わせによって、より良い作品を作っていける楽しみがあるんですね。竹政さんはいかがでしょうか。

竹政:
マネジメントに関わることで、より自身のクリエイティブに広がりを持たせることができると思います。
僕は元々、厚塗りのこってりしたイラストが得意だったのですが、入社して数年経った頃、それとは対照的なキラキラした世界観の作品を担当することになり、これまでのノウハウが活かせなくなった経験があります。

その時に、自分がやったほうが早い、みたいな傲慢な意識がすっかり消え、メンバーに任せる、チームとして作品を作り上げる、という考え方にシフトすることができました。客観的な見方ができるようになり、自分自身にも広がりが持てたと思います。

KLab_【クリエイター対談 】前編 管理職へシフトしたきっかけ。「エキスパートかマネージャーか」_4.jpg「エキスパートか、マネージャーか」今、まさに迷っている人へ。

―クリエイターの方は「エキスパートか、マネージャーか」というキャリア選択の場に立つ人も多いと思います。メンバーへそういうアドバイスをするとしたら、どう伝えますか。

竹政:
マネージャーになると、クリエイティブな活動ができなくなると考える人が多いのですが、そんなことはありません。自分で創作の時間はつくれますし、立場上、多くの作品に出会うので、刺激も多いです。

何かを捨てるのではなくて、今まで培ってきたものを生かせる次のステップとしてマネージャーを考えるというのは、全然ネガティブな選択ではありません。クリエイターの道から逸れるものではないと思うので、クリエイターでなくなってしまうという意識を持っているなら、それは違うよって伝えたいですね。

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―マネージャーになっても、クリエイターであることは変わらないと。

竹政:
そうですね。自身がクリエイターであるからこそ、メンバーの考えや思いに寄り添い、共感した上で、マネジメントすることが出来るのだと思います。クリエイターには繊細な方も多いですからね(笑)。クリエイターをマネジメントする上では大きな強みになると思います。逆に言うと、マネージャーになってクリエイティブな活動をやめてしまうと、その強みも薄れてしまうかもしれませんね。


井口:
チーム制作するのが好きな人という前提の上で「そのチームの一員となってモノを作っていくのが好き」っていうよりも、「いろんな人の力を借りて、最終的にみんなが思い描いたいいものを作り上げるのが好き」っていうような性質を持っている人の方が、リーダーとかマネージャーとかっていうのはすごく向いているんじゃないかなって思います。

僕自身もそうで、自分自身で頑張って作ったものよりも、いろんな人と協力して作ったもののほうが、結果いいものができた!という体験があったんですよね。そういう体験の中で、それが楽しいっていう比重がすごい大きく感じられる人というのは、マネージャーに向いているんじゃないかなと思いますね。

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―「エキスパートの道を選ぶ」という選択肢に対してはどう思われますか。

竹政:
制作技術を究めていきたいのであれば、当然エキスパートの道を選ぶことになると思います。ただし、自分の好きを追求していくだけでは活躍の場はどうしても限られてしまいます。時流に合わせてスタイルを変えていける柔軟性が求められることは、エキスパートでもマネージャーでも共通していますね。上を目指すからには本気で取り組んでいただきたいですし、どちらの道を選んでも応援したいです。


井口:
KLabには「どぶろく制度」というものがあります。これは月の業務時間の1割を自分がやりたいことに使っていいという制度です。例えば、有志で最新ツールの勉強会を定期的におこなったりしています。

また、実はこの「どぶろく制度」は担当業務とは関係のない研究や勉強に使ってもよいという制度なので、それを使って個人で新しいツールや技術を覚えている人もいます。ですから、マネージャーになったとしても、クリエイティブ活動は行えますし、エキスパートとして情報収集もしやすい環境だと思います。

結構その時に勉強したことが、次のプロジェクトに繋がったりもします。自分がやりたいことにアサインされやすくなったり、自分がやっていた研究成果が新しいプロジェクトで生かされたりするのは、単純にクリエイターとして嬉しいですよね。
支援制度がない会社も多いので、KLabの「どぶろく制度」はクリエイターにとって魅力的な制度だと思います。

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―クリエイターにとって、KLabの魅力はどのようなところでしょうか。

井口:
チームの雰囲気が良く、人間関係でモノづくりができるのはいいところかなと。


―それは、チーム内の関係値の深まり、理解が進んでいる、という意味での雰囲気でしょうか。

井口:
そうだと思います。一般的に、クリエイターの平均的な在籍年数は長くはない傾向があると思いますが、KLabでは在籍年数の長いクリエイターも多いんですよ。


竹政:
「こう在るべき」という押しつけよりも、「どう在りたいか」を問われる社風で、一長一短な部分もあるとは思いますが、しっかり腰を据えて仕事に向き合える、それぞれのペースでやれる環境があるのかなと思っています。


―クリエイティブ制作に打ち込む環境があると。

井口:
業務をすすめる上でピリッとした雰囲気も当然必要ではあると思いますが、穏やかな方が多い分、居心地がいいっていうのはあるかもしれないです。これはエキスパート、マネジメントどちらのクリエイターでも感じてもらえるんじゃないでしょうか。



***

後編では、「実際にどのようにマネジメントをおこなっているのか、マネジメント職になって見えたもの」について、話を聞いていきます。(後編へ続く)



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