【社員インタビュー】クリエイターに話を聞いてみた!リードイラストレーター編〜イラストの品質管理ってどういうお仕事?〜

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イラストの品質管理という仕事をご存じでしょうか?
キャラクター、武器や装備などのアイテム、衣装、背景など、ゲームには数多くのイラストが登場しますので、毎日たくさんのイラストが、大勢のイラストレーターによって制作されています。

それぞれのイラストレーターが描いた絵の世界感が統一されるように、品質を担保する仕事が「イラストの品質管理」です。KLabで品質管理を担うリードイラストレーターのマイコさんは、なんと1日に50枚以上のイラストチェックをおこなっているそうです!

ゲームや作品の世界観を守るために欠かせない品質管理の仕事について、インタビュー!
作品作りの魅力や、コミュニケーションの方法など、イラスト制作のお話もたっぷり聞いてきました!

マイコ:リードイラストレーター
KLabの在籍年数は10年。学生時代は絵画を専攻。イラストレーターとして家庭用ゲームの開発会社などで、UIデザインや2DCGなど幅広く経験を積む。KLabではイラストグループに所属し『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』のリードイラストレーターとして、品質管理を担当している。

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リードイラストレーター、イラストの品質管理ってどういうお仕事?

――マイコさんはKLabで、2Dのイラストレーターとして、またチーム内のイラスト全般の品質の管理も担当されているそうですが、品質の管理を担当するようになったきっかけは何だったのでしょうか。

はい。キャラクター、背景、衣装など、ジャンルを問わず全ての制作物の品質管理を担当しています。
実は私、KLabには背景作画の担当として入社したんです。当時のKLabは、イラストレーターの人数が少なく、手が足りないという理由からキャラクターのイラストなども描くようになり、携わる作品も増え、手がける作品の幅が広がっていきました。

また、制作を外部の企業へ依頼するようになった際には、そのイラストの品質管理も行うようになりました。そして、その流れから社内で制作しているイラストの品質管理担当になったという経緯です。


――必要に迫られたとはいえ、何でも描けるようになったというのはすごいですね!品質管理という仕事は具体的にどのようなことをするのでしょうか。

ふふ。そうですね、品質管理と並行して、今でも自身で制作することもあるんですよ。
イラストの品質管理については、まず企画担当者から「今回はこういったイラストにしたい」という、施策にあわせたテーマやリクエストなどが書かれている指示書をもらうところから始まります。

指示書に対して、イラストレーターからは「このテーマなら、こういう表現ができるのではないか」という提案をおこなったり、企画担当者の意図と相違がないか認識合わせをします。その後、実際の作業に入ります。作画の作業では、ラフデザインの制作や着色など、様々な工程に分かれるのですが、その工程ごとに、私がチェックをします。そして、最終的に一枚のイラストとなって世に出るという流れです。

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――なるほど!一枚のイラストで何度もチェックをするのですね。品質管理において気を付けている点はありますか。

細かい箇所も含めいろいろチェックしますが、私が品質管理を担当する作品は「魅力的なキャラクターが登場する」という作品です。ですので、そのキャラクターの魅力が表現されているか、テーマが伝わっているか、という観点でチェックしています。


――品質を担保するためには「修正を指示する」という仕事も多いと思います。これは難しそうですが、コミュニケーションをとる上で気をつけていることはありますか。

イラストレーターも様々で、それぞれに得意な分野や進め方があります。ですから、同じ修正内容を出すにしても、伝え方を変えることはあります。

例えば、抽象的な言葉で伝えた方が理解しやすい人もいれば、具体的な内容を示した方が理解や対応が早くできる人もいます。そこは本当に人それぞれで、相手に伝わるように工夫している点かも知れません。
回を重ねていくうちに「この人にはこういう伝え方がいいな」という傾向がわかれば、そこも考慮しながら進めていきます。


――伝え方を工夫されているのですね。ちなみに、「可愛いらしさ」や「キャラクターらしさ」を計るのは難しいと思うのですが、どのように目線を揃えていくのでしょうか。

指標というほど明確なものはありませんが、「可愛い」「可愛くない」という言葉で言ってしまうと、主観的になってしまうので、できるだけ具体的に伝えるようにしています。
例えば、目のバランスが違うので整えてくださいとか、鼻と口の間が寄って見えるので、離してくださいとか。

「可愛い」「可愛くない」ではなく、具体的に、「こういうふうにバランスを取ってください」と伝えるようにしています。そのほうが制作する人にとっても納得感がでますからね。
また、キャラクターの設定資料などもあるので、そういった基準と比べてチェックするようにしています。
企画担当者とのやり取りでは、どういうイラストが必要なのかを考え、実際のイメージが湧くように資料を用意して認識を合わせたり、具体的な内容で確認するようにしています。

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――人と接することに対して、すごく丁寧な作業を続けている仕事なんだなと感じますね。

そうですね。基本的には「伝える」ことが仕事なので、何をどう伝えようとしているのか、というのは意識しています。
例えば、言い方を変えて伝えてみる、それでも伝わらない時は、画像を添えてみるとか。

画像でもイメージが伝わらなかったら、もうちょっと身近な例を挙げてみるとか。実際、自分でも描いてみるとか。ありとあらゆる手を使って伝えています。


――品質管理という視点で「良いイラスト」とは何でしょうか。どのようなところをみて感じることが多いでしょうか。

キャラクターのポーズを見て、ひと目で可愛いと感じる絵は、大体そのまま修正なく最終版となることが多いですね。
言葉はなくとも、「これが言いたい、伝えたいんだな」と発信したいことが明確にわかるイラストやポーズが、やっぱり良いイラストだと思います。


――言わずとも伝わるイラストが良いイラストだと。

最終的に、イラストをお渡しする相手はユーザーさんになります。例えばゲーム内のキャラクターカードであれば「ユーザーさんが、欲しいか欲しくないか」が、最大の基準になります。絵としての正解よりも、そこが一番だと考えています。

絵を描く上で大事にしているのは、こだわりと先入観を捨てること

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――「ユーザーさんの欲しい」が一番とのことですが、その基準を理解するためにやっていることはありますか。

まず、自分がユーザー目線になるように徹底します。
女の子のキャラクターの時は、「自分が男子高校生だったらこの子を好きになるか」といったことを考えます。


――ユーザーさんのシチュエーションも考えているのはすごいですね。

IP作品を手がける場合は、その作品をともかく見ます。自分が一番のファンになる!という意識です。
学ぶという意味での情報収集としては、ゲームはもちろんジャンルを問わず、アニメや映画など、幅広く見るようにしています。

意外と、同じジャンルより別のものを見たときのほうが、アイデアが湧いてきたりします。実写の映画を見ることが多いのですが、洋画は邦画に比べて俳優がオーバーな表現や動きをしていて、感情をポーズでここまで表現できるんだなとか、参考になることもあります。

あとは立ち姿。かっこいい立ち姿は、美少女ゲームではなく、格闘ゲームではキャラクターポーズがかっこよくデフォルメされていますので、シルエットで見せるやり方が参考になりますね。同じジャンルでは、ありきたりな印象になることが多いんです。そこに他の要素が入ると、新たな魅力が出てきたりして飽きずにみられるようになります。


――お話を聞いていると、ご自身でも作画をされますし、いろんな作品に触れているマイコさんだからこそ、品質管理というお仕事はピッタリな気もしますね。

他の人が制作した絵を見るのが純粋に好きなんです。
社内でも、上手い絵が出来上がっていると、「可愛いな」と感激します。ですから、みんなの絵が出てくるのが楽しみなんです(笑)。

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オフィスのホワイトボードにはみんなで描いた手書きイラストも
作品への想い、自分が一番のファンになる!という熱意が体現されている ©KLabGmaes


――マイコさんは普段、イラストを何点くらい見ているのでしょうか。

毎日50件ぐらいチェックしています。プロジェクトに所属しているイラストレーターの方の作品は工程毎にほぼ全部チェックしていて、あとはお手伝いいただいている外部企業さんの作品も見ることも多いですね。


――毎日50件とは!それだけの作品をチェックしながら、ご自身で描く時間はあるのでしょうか。

自分自身も描きたい気持ちがあるので、合間をみつけては描いています。何より、描けない人にフィードバックをもらっても納得がいかないんじゃないかなと思います。
実際に、自分で描いてみて「確かにこれは難しい」と思うこともありますし、イラストレーターとしての視点は持っておきたいんです。

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――今後もご自身でも描き続けたいと。イラストレーターとして、マイコさんが大事にしていることはありますか。

こだわりと先入観を捨てることでしょうか。まず人の話を聞くことと、実際に自分で見て、取りあえず描いてみるようにしています。興味ない、関係ないと思ったことでも、あとでそれが引き出しになることもあるので、取りあえずやってみようという精神ですね。


――座右の銘とも言えますね。そのように捉えるようになったきかっけは何だったのですか。それはこれまでのご経験からそう考えるようになったのでしょうか。

新入社員として入った会社で、上司に言われたことがきっかけかも知れません。
業務量の多い仕事で、初めて取り組む事も多かったので躊躇して「私やったことがないんですけど」と言ったら、「でもさ、君はやったことあることの方が少ないよね」と言われたんです。

そこでストンと納得してしまい、何事もやってみるようになりました。間違ってはいませんが、今思うと労働環境が厳しい会社だったかもしれませんね(笑)。


――(笑)。そこから色んな作品や仕事に触れるようになって、経験を積まれていったのですね。

絶対に苦手だろうなと感じることでも、まずは苦手だと思う感覚を覚えておいて、なんで苦手と思うんだろう、どこに引っ掛かったんだろう、と、「苦手」の中身を分析をするようにしています。
そこがクリアできれば、もしかしたら好きになるかもしれないし、得意になるかもしれませんから。


――なるほど。活動の場を広げられて、学生向けに講演するとうかがいました。これも新しい事への挑戦のひとつですね。

はい。縁あって、講演のお声がけをいただきました。学生向けに「ゲームイラストレーターという仕事」についての話をする予定です。学生にとって、イラストを描くことを「仕事」としてイメージするのは簡単ではないと思います。

実際にどんな風にゲームのイラストが制作されるのか、キャラクターデザイン、衣装や背景など、たくさんの人で1枚のイラストを制作していることなど、実際の仕事を紹介する予定です。
時間は短いのですが、実際にイラストを描く体験もあるので、そこでは髪型や目などパーツひとつひとつで印象が変わること、ポーズで表現の幅が広がることなどを体験してもらいたいと考えています。

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ポーズだけでもキャラクターの感情や魅力を表現する幅がぐっと広がる

みんなで絵を作り、発信していく楽しみをこれからも

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――お話を聞いていると、物事を見ることが得意なんだなと感じます。ちなみに、そんなマイコさんから見てKLabの社員はどういう人が多い印象ですか。

真面目で、ピュアで、向上心のある人がいっぱいいると思います。私が関わっているチームでは、みんながちゃんと当事者意識を持って仕事を考えていると感じます。

アイデアも出てくるし、それぞれが自分の課題を常に考えています。ただ与えられた作業をするのではなく、「こういう絵が描きたい」、「こういうものを発信していきたい」といった考えをみんな持っていて、本当にすごいと思います。私の若い時は、何も考えていなかったので(笑)。


――最後にイラストレーターに興味ある方やKLabに興味ある方へ向けての一言をいただけますか。

ではイラストレーターを目指している人に向けて。恐らく、イラストを描きたい人は、今まで自分が描きたいものを描いてきたと思います。仕事でイラストを描くというのは、受け取る人がいるということで、そこが最大の違いだと思います。

受け取る人に向けてイラストで発信する仕事があるということ、伝える相手がいると実感できる経験は、ぜひどこかで体験してみてほしいです。
もちろん会社に入ってからでもいいと思いますが、その経験を経ると、見ている世界が変わってくると思います。まずは、自分が描く絵を誰かが受け取るんだろうと意識して描いてみるといいかもしれません。


――イラストレーターとしては、まず見てもらうという意識が大事なんですね。

はい。それは、会社に所属してイラストを描いているから得られた経験です。自分で好きなだけ好きな絵を描いているときには、おそらく到達できなかったと思います。また、他の人と一緒にイラストを作る楽しさも伝えたいですね。他の人の作品を見るだけでも楽しいですし、自分と違う発想の描き方にハッとすることもあります。

ゲームでは、自分の描いたイラストが3Dになったり、音が付いたり、キャストさんの声があてられたりしていくと、自分一人で描いているだけではたどり着けなかった作品に変化するのです。
そして、それがたくさんの方に届くというのはすごく楽しいと思いますよ!


――絵を描く仕事の醍醐味でもありますね!楽しいお話をありがとうございました!

イラストを見ることが大好きだと語るマイコさん。
普段私たちが目にするイラストには、マイコさんのようなクリエイターの想いと努力が重ねられているのですね。

ブログでは、マイコさんのほか、様々な場面で活躍する社員を紹介していきますので、楽しみにしてください!


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