KLabのAI活用
KLabは、AIや機械学習の研究と活用に取り組んでおり、ゲーム開発及び運営における品質や生産性の向上を目指しています。
AIや機械学習をゲーム開発・運営に導入することにより、ゲーム品質の向上、開発の効率化、新たなゲーム体験の創出などが期待されます。KLabでは創業来の積極的な研究開発体制を活かし、ゲーム開発・運営の最適化に役立つAI技術の研究、導入を継続的に行っています。
開発効率化
リズムゲームの譜面自動生成
これはリズムアクションゲームにおける譜面制作作業を支援するために開発されたKLab独自のシステムです。楽曲の音声データやゲームの難易度などを入力することにより、楽曲のリズムにあわせた適切な難易度の譜面を生成することができます。
システムが生成するバラエティに富んだ譜面を参考にすることで、制作者は譜面の高クオリティ化に集中できるようになり、より挑戦しがいのある譜面を生み出すことができるようになります。本システムの導入により譜面制作のスピードを2倍にすることができました。
本研究論文は、人工知能分野において最も権威ある国際学会の1つであるアメリカ人工知能学会AAAI-23に採択され、2023年2月にワシントンDCで発表しています。
自動UIテスト(「ゴリラテスト」)
ゲームでは作品ごとに独自のUIが使われるため、UIテストの自動化が困難でした。この自動UIテスト技術ではゲームUIに適した機械学習技術を用いて画面からUIを自動検出することにより、幅広い作品でテストスクリプトなしでの自動操作を可能にしました。これによって、ゲームの画面遷移を探索し、異常終了や意図しないパフォーマンスの推移を開発の早い段階で確認できます。ここで開発した手法について人工知能学会全国大会で発表し、大会優秀賞を受賞しました。
開発中大型タイトルにおいて、テスト工程で発見された全エラーのうち約25%を本システムが発見しました。
モーションデータの検索システム
大量の3Dモーションデータの中から目的のモーションを探し出すためには、従来はモーションを1つ1つ再生して確認する必要がありました。機械学習によって類似モーションの検索が可能となるよう研究を進めています。これによって3D制作のスピードアップが期待できます。
運営の効率化
ユーザーレビュー/Twitter感情分析
ストアレビューやTwitter上のユーザーの反応を、ポジティブ/ネガティブなどに分類して可視化する仕組み。
目視では感覚的な評価になりやすい、時系列での確認がしづらい、などの課題改善が期待できます。
チャット監視システム
ゲーム内チャットの広告スパムや悪質な荒らしユーザーやBOT(自動化スクリプト)を使用しているユーザーを抽出するため、機械学習モデルによる判定でスパムとBOTと思われる投稿やアカウントを判別し、ユーザーリストを作成する仕組みを開発しました。これにより目視による監視コストを削減できます。
プレイヤーのデッキ利用状況を機械学習で可視化
PvPデータからデッキ傾向を可視化し、新規キャラクター配信やゲームバランス調整に役立てることができます。
機械学習による広告効果の最適化
休眠ユーザーなどからゲームに復帰しそうなユーザーを機械学習で推定し、効率的に広告配信を行うことで広告費用対効果の改善に役立てることができます。
新たなゲーム体験の創出
GameAI (AR, 共同研究)
ゲーム内で機械学習を活用することにより、今までにないゲーム体験を生み出す技術を九州大学と共同研究しています。特に、近年急速に発展している生成AIや識別AIを従来からゲームで使われてきた記号推論AIと繋ぎ合わせ、キャラクターの振る舞いを多様化したり、個々のプレイヤーに合わせたゲームコンテンツを生み出すことができる基盤技術を開発しています。
この技術を応用して、プレイヤーの好みに合わせた会話をするキャラクターや、実世界のオブジェクトを認識して様々な反応を見せるAR(拡張現実)キャラクターを開発しています。
KLabは、今後もAI・機械学習をはじめとした最新技術の研究に積極的に取り組み、自社におけるゲーム開発・運営に限らず活用していきます。また、研究機関との共同研究や他社への技術提供にも力を入れていきます。